■■■リレーエッセイ@「私の外国人問題」■■■
私の外国人問題は・・・
自分の人生そのものとして、そして人らしく生きる事。
在日韓国人2世に生まれ、差別の中で・・・
私は日本で生まれた在日韓国人2世です。 2歳の時からずっと神戸に暮らしています。朝鮮人が多く住んで何かと協力し合っている
下町でした。しかし、子ども同士でも何か揉め事があるとニンニク臭いとか、朝鮮帰れと
か言われ、時には石を投げつけられ頭から血を流したりした事もありました。そんな露骨
な差別のあった時代だったのです。しかし私自身はなぜこんな目に遭うのか良く分かりま
せんでした。ただ、朝鮮人は何か隠さなければいけない悪い存在として徹底的に植え付け
られてきたといえます。自分の事は殆んど知らないままに。
忘れられない先生のこと・・・
今も忘れられない先生の思い出があります。
先生も平気で差別するような小学校時代の中でピカッと光る思い出です。一つは人前で自
分の名前すら言えなかったひどい“ドモリ”だった私を付ききりで指導し直してくれた先
生です。人の深い思いやりを教えてくれました。もう一つは授業で「人はどんな人でも生ま
れつき平等であり公平に扱われなくてはならない」と教えてくれた先生です。当たり前の授業内容だったのでしょうが、私にはとんでも
なく嬉しい力強い救いのような教えだったのです。この事はその後もずっと活動の支えと
なり続けました。
民族に目覚めて・・・
自分のルーツや母国の事、日本社会の差別 の実態について教えられ分かり始めたのは大学で民族団体に入ってからでした。全ての原
因は、日本が韓国を36年間も植民地支配したことにある事。日本が戦争に負けて民主化
したといっても韓国人を差別し続けている実態。米ソ冷戦により祖国が2つに分断されて
いる事。目からウロコが落ちたように強烈な民族意識を持ち祖国統一、反日の民族運動に
熱中していました。また、時代も日米安保条約、韓日条約、ベトナム戦争などをめぐり日
本社会も混迷し学生運動が盛り上がっていました。団塊の世代の青春真っ只中ということ
ですね。
地域社会に定住する外国籍住民として・・・
私にとって阪神・淡路大震災は大きな変化 のきっかけとなりました。今までは韓国・朝鮮人問題一辺倒でしたが、
KFCやFMわいわいなどの活動を通じて神戸に住むベトナム人、
フィリピン人その他の外国人と初めて交流できたのです。そして、みんな私たちと同じよ
うな困難を共有していたのです。一緒にやらなければという思いが急に大きくなりました。日本は国連からも(外国人への対応を)毎年改善要求されいるような、外国人人権の後進国です。しかし、何か逆の信念があるかのように改善しようとしません。私の子孫たちもこの日本で生きていくだろうから、心配で仕方ありません。震災復興の活動の中で「多文化共生」が流行語のようになりましたが、その中身はお寒いものです。地域社会に定住する外国籍住民として、当たり前の諸権利の獲得と多文化な地域づくりを目指して共にたゆまず進んで行きたいと思います。立ち止まる事はできませんから。(李圭燮(KFC理事))
■神戸市、コミュニケーション サポーター制度の実現検討へ
コミュニケーションサポーター派遣制度実現に向けての話しあいの進捗をお知らせします。
要望書への回答を受けての第1回目の話しあいが5月26日にもたれ、神戸市の介護保険課と国際課の出席を得て、神戸市の取り組みの説明などを受けましたが、介護保険制度の説明パンフの中に「『介護保険』は、40歳以上の国民全員がそれぞれ介護料を負担(下線は筆者)」という説明があり、外国人住民の負担が啓発パンフから抜けている無神経な配布の実態が明らかになりました。
姿勢自体の問題も指摘し次回の話しあいまでに制度実現の姿勢を明確にしてほしいと要望し第1回目の話しあいを終えました。
それから第2回目の話しあいが、7月29日に持たれました。話しあいの席上、神戸市介護保険課から先駆的自治体調査の結果と要望を受けてから今までの検討の経過の説明があり、制度実現に向けて意欲を持っていることの趣旨説明がなされました。
意見交換の中で神戸市介護保険課としては、言語としては、韓国・朝鮮語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語を現在サポート対象言語と考えており、その他に手話によるサポートも検討しているとのことでした。
また話し合いの中で制度が実現した場合、どのような体制でのサポートが望ましいかについては、先駆的自治体においても個人登録形式と団体登録形式があり、各登録形態によって一長一短があるが、できれば神戸市においては、サポート団体を間に置いた形での実施がよいのではないかとの話が、要望団体の総意として確認されました。
これから来年度事業実施に向け、我々も担当部局も詳細の詰めを迎えますが、KFCとしてこの間続けてきた在日コリアン高齢者支援活動の実績も踏まえ、できるだけ制度を実現していくなかで言葉などにハンディを持つ人たちが使いやすい制度になるよう働きかけたいと考えています。(金宣吉)
■■■日本語プロジェクト■■■
◆個人レッスン支援者インタビュー
8月22日に日本語教育実習先のオーストラリアから帰国したばかりの三上慶子さんに、インタビューに応えてもらいました。三上さんは現役の大学生(日本語教育ゼミ専攻)で、今夏3週間にわたってシドニーの某大学に日本語教育実習のため滞在されていました。
三上 今回の教育実習先は、シドニーの某大学でした。生徒役は同大学で日本語を勉強中の大学生です。今後の日本語教育に役立つ体験をさせてもらうことが出来ました。
−三上さんの日本語支援能力に磨きがかかりましたね。うらやましいです。
ところで、KFCでの日本語支援活動はいつお始めになったのですか。
三上 去年12月です。大学の先輩の紹介でKFCの存在を知ったのです。KFCに入ってすぐに中国からの学習者周華さんの支援を始めました。周華さんは、平日は働いているので、土曜日や日曜日にKFC事務所で日本語支援をしています。周華さんの日本語レベルは大変高く、現代日本語の文法事項などは教えることがないくらいです。会話能力に磨きをかけたいとの周華さんのご希望に沿って勉強を進めています。
−どういう教材をお使いですか。
三上 特定のテキストを使って順を追って消化していくようなやり方はしていません。上級会話本・テレビドラマなどを素材にして会話練習をする他、周華さんが1週間の実生活で溜め込んだ日本語にかかわる質問に答えるのが大切です。
− 録音機材もお使いですか。
三上 周華さんが私との会話練習状況を録音し、持ち帰って自習しています。この録音内容に関して質問が出てくることもあります。
−周華さんとの会話は関西アクセントでされているのですか。
三上 そうです。関西弁での会話能力向上が周華さんの目標なのですから。
− 支援活動で苦労されていることは何ですか。
三上 周華さんの質問に対して適切な解答をその場で与えることが出来ない場合があり、そういう時は仕方なくそれを持ち帰って調べなければなりません。大学の同輩や先生に相談しても答えを出せない場合もあり、苦労しています。
−KFC日本語プロジェクトについてどう思いますか。
三上 「マンツーマン」制度に魅力を感じます。特に周華さんは意欲的でとても優秀な学習者ですが、どちらかというとシャイな性格なので個人レッスンが適していると思うのです。
−うれしい事は何ですか。
三上 8ヶ月のお付き合いを経て周華さんと良いお友達になれたことですね。
(インタビュアー:ニュース係 操田誠)
◆外国人の子どものための学習支援(親子学習教室)を始めて
7月21日から始まった外国人の子どものための学習支援も、気が付けば夏休みが終わって、1ヶ月以上が経過しました。子どもたち9人はマンツーマンで勉強しています。支援者は、『初めてボランティアをする』という方も多く、毎週試行錯誤しながらの支援となっているのが現状です。
初めて会ったときは、子どもたちも支援者もどちらもが緊張していて、ぎこちない雰囲気が漂っていました。子どもたちの多くが男の子ですが、みんなやんちゃそうな顔をしていながらも口数が少なく、支援者の大人たちが話すばかりで、勉強どころかコミュニケーションを取るのに必死でした。私自身、子どもに接する機会というのがこれまでそんなに多くなかったので、今の小学生や中学生たちがどんな話に反応し、どんな話なら楽しいと思ってくれるのか、頭を悩ませたのを覚えています。しかし、時間が経つにつれて、子どもたちと支援者との心の壁も無くなりつつあり、夏休みが終わるころには子どもたち同士でも打ち解けあえるようになっていました。
勉強のほうは、各自夏休みの宿題を持ってきて、それを支援者と一緒にしたり、KFCで用意された問題集を解いたりしていました。最初の頃は子供たちの問題点がなかなか見えず、『とりあえず』やっていたという感じだったのですが、回を追う毎に「あれ?もしかしてここは苦手・・?」と思うことが出てきて、毎週思案しながら勉強を進めています。子どもたちの問題点は、もちろん子どもの背景によって異なるのですが、やはり共通して「日本語がわからない」ことはあるようです。国語以外の教科を勉強していても、結局は問題の意味が分からず、もしくは問題を読むことができず、正しい解答を導き出せないということが多く出てきました。毎週、子どもたちと勉強をした後に、支援者たちでお互いの情報交換をしているのですが、夏休みの終わりに出た共通の悩みは「どうやって問題を理解できるだけの国語力(日本語力)を身につけられるか」ということでした。
例えば、私が担当している中国人の女の子(小6)は、小4まで中国で過ごし、小5は中華同文へ通い、小6からは公立の小学校へ通っています。日本語は自分で勉強したということで、日本語での意思疎通は十分に出来るし、学校の先生の話も理解できているようなのですが、問題を解かせると、途端に手がとまってしまうという状態です。漢字も苦手で、毎回小3の漢字ドリルをコピーして、宿題として渡しています。1学期の成績で一番良かったのが算数ということだったので、実際に計算問題を解いてもらうと、ほぼ完璧に答えることができたのですが、小1の文章題を解いてもらうと、手がとまってしまいました。
教科学習に加え、日本語の勉強も必要なのは確かなのですが、勉強する時間は限られています。そのため、できるだけ効率よく、子どもたちに合った方法で楽しく勉強をしていけたら、と思っています。
夏休みの終わりで学習支援もちょうど1ヶ月を向かえ、活動に慣れてきた支援者たちの間でも、子どもたちの問題点について少し深刻に考えがちになっている部分も出てきています。けれど、子どもたちというのは敏感なもので、大人たちのそんな深刻さを感じ取ってしまうのではないかと、少し心配もしています。どちらかというと、子どもたちの方が「できない」と焦りがちになってしまうと思うので、大人たちは焦らず、みんなで子どもたちを見守ってあげられたら、と思います。勉強が出来るようになるのはもちろんいいことなのですが、それよりも、まずはみんなが楽しく仲良く勉強していけるような雰囲気作りを重視し、そのなかでみんな成長していけるように、今後も力を尽くしていきたいと思っています。
(濱野徳子)
◆外国人の子どもための学習支援の状況
7月21日にスタートした親子学習教室は、ベトナム人、中国人、フィリピン人の小学生・中学生9人が勉強しています。夏休みということで、ドリルなどの宿題のほかに自由研究や感想文を手伝ったりもしました。
夏休み最後の勉強の日には、学習者、支援者、デイサービスのハルモニ(おばあちゃん)たちと交流しようということで、海苔巻きやチヂミを作り、紙芝居やビンゴゲームをしました。ビンゴゲームは、子どもだけでなく、ハルモニたちにも喜んでもらえたようです。
9月からは毎週木曜日、小学校低学年は16:00〜、高学年は17:00〜、中学生は19:00〜勉強しています。
学習教材募集中!
学習支援で使用できるドリル(未使用のもの)や絵本、その他学習に使用できる教材などを募集中です。不要になったものがありましたら、事務局までご連絡下さい。
◆ティーパーティー
昼頃雨が強く振り出し皆来てくれるかと出席状況が気になったが会の始まる頃には小雨になっていた。今年は7月31日(日)13時半からデイサービスセンター・ハナの会で行われた。出席者はスタッフの方をはじめ、支援者とその家族13人、学習者はベトナム人2人、中国人2人、フランス人1人、インド人1人、メキシコ人1人で合計22人だった。
ティーパーティーは昨年に次いで二回目である。昨年は準備期間も少なくお茶と持ち寄りのお菓子で雑談を楽しんだ。だが今年は何か目玉になるものをと考え、たまたま日時が旧暦の七夕の時期なので、七夕飾りをし学習者にゆかたを着てもらって記念に写真を撮ることもしたらどうかという意見が出た。
支援者達が若かりし頃の紺系統のゆかたを持ち寄ったが、支援者の一人の娘さんが今様の明るい色のゆかたを何枚か提供してくれ、更に着付けボランティアをしてくれた。これらのゆかたの方が学習者には気に入られた。下駄もはいて一人ずつ笑顔の記念撮影。
自己紹介のあと笹に七夕飾りをした。この笹は前日奥さんと支援者の北井さんが用意してくれたものだ。それに切り紙細工、折鶴、自分の願いを短冊に筆と墨を使って自国の言葉で書いたものなどを吊るした。
その後ゆかたを着たまま、お茶とお菓子で雑談。予定の2時間はあっという間に過ぎていった。最後はビンゴゲームでしめくくり。15時半過ぎても部屋の使用が許されていた16時近く迄、何人かは残って雑談していた。ビンゴの賞品の紙風船をふくらまし学習者がよちよち歩きの支援者の家族を交え歓声を上げて付き合う場面も見られた。出席者皆の思い出に残る盛会だった。 (行事係 気賀倭文子)
数時間のパ−ティ−でしたが日本の文化を少しでも知ってもらえたでしょうか?今回七夕まつりをするにあたり七夕の事を少しですが調べたところ、中国、韓国、ベトナムでも同じようなお話がありました。折り紙もベトナムの方が素晴らしい作品を次から次に折られていました。文化には国境線は必要ないのだと痛感しました。又ゆかたを着られた各国の学習者にとても親近感を覚えました。
この感情は何処から来るのかと?同じ文化の中での存在意識が国が違っても宗教が違っても融和できるのではと思いました。
この度初めて行事に参加いたしまして新しい発見と共に私が出来ることを探し会えたようでとても貴重な体験をさせて頂きましたこと心から感謝申し上げます。次回の行事では双方向の文化の交流が出来ればと思います。
最後にこの度の行事に御協力、ご参加頂きました皆様に心からお礼申し上げます。有難うございました。(行事係 北井照代)
◆2005年7月研修会報告 (「日本語学習」講師ハ
ティ タン ガ)
@在日ベトナム人...1978年以降難民として来た人、後にその家族として来た人、結婚して来た人とその子孫が定住しています。
A日本語習得...講師のガさんは、定住センターに入る前に赤十字のセンターで過ごしました。「時間があったので事務所の人からツクエ・イスなど身近なものの語彙を聞き覚えたりしました。その後定住センターで日本語のクラスレッスン(直説法)を受けましたが、
先生は日本語しか使わなかったけどなぜか意味がわかりました。働き始めてからは必然的にその地方の話ことばを聞き話すことになりましたがそれで十分でした。今人前で話すようになって丁寧語など気をつけて話をしなければならないと感じています。」
B支援者へ...ベトナムでは体の前で腕組みして話を聞くことは、相手へ敬意をはらっている態度です。このような異文化への理解を含めて相手を知って支援するといいと思います。また役所の書類記入の手伝いなどその場で書いてあげてしまうのは簡単ですが、次には自分で書けるような支援方法の方がいいと思います。自立して生活していくことに繋がります。
CQ&A...
Q「在日ベトナム人は将来についてどう考えていますか。」
A「あまり考えていないと思います。日本では帰化しないと就職しにくいのが現実です。苦労して日本語を勉強しても明るい将来が見えにくいです。」
Q「支援者と学習者間の日本語学習についての考えの相違があるように思いますが。」
A「一人一人の性格にもよるでしょうが、日本人と敢えて比べるとマイペースで束縛は嫌いますので、何日何時という約束など好まない傾向があります。」
■■■KFCハナの会■■■
◆ハナの会訪問に際して
先日開催された<日本−在日−韓国>ユースフォーラム2005の兵庫−多文化共生−フィールドワークの折、ハナの会を訪問した。今回7月28日〜8月1日の日程で行われたユースフォーラムは、その名の通り、日本人・在日コリアン・韓国人の三者が集う中での、学び・対話・交流を目的とした年1回の定例行事である。当然三者の文化には差異や隔たりがあり、行事中にもそうした場面に様々に出くわすわけだが、今回、特に韓国人の高齢者への畏敬をこめた接し方には本当に驚かされた。ある韓国人参加者曰く、「ハルモニを目の前にして、礼儀を尽くさなければならないでしょう!」と“チョル”(韓国式のお辞儀)を促した。参加者全員でハルモニに対してお辞儀をする格好となったのだが、日本人参加者は何が何やら分からんやろな、と思いながらふと横を見ると、満更でもなさそうな表情で佇むハルモニ。おそらくハルモニにとっては韓国人参加者の振る舞いは至極当然の事であり、若造が自らを敬うのは自然な事なのだ。長年日本で暮らしていく中で薄れ行くものの、その身体感覚は深く根付いている。さぞ日々不満が多いに違いない!
十分に礼節を尽くした後(笑)、交流が始まった。行事の紹介を済ませ、一通りのハルモニとのやり取りの後、ノレ(歌)を一緒に歌う事にした。互いに緊張してどこかぎこちなかったノレ自慢は、ボルテージが高まるにつれ、チャンゴの得意なハルモニがリズムに合わせて演奏する。「恥ずかしいから」と拒み続けていたハルモニがマイクを離さない。「腰が悪いから立てない」と言っていたハルモニもいつの間にか立ち上がって一緒に踊っている。
ここで参加者が持っている日本に渡り苦労してきた無垢で純真なハルモニ像は、良い意味で打ち砕かれる。等身大の生身のハルモニと接する事ができたのである。参加者はハルモニ達と手を取り合って、いつの間にか皆で歌と踊りを楽しんでいた。宴は大いに盛り上がり、ノレを辞めようとしないハルモニを遮る形で楽しい時間は終了した。
仕切り屋のハルモニ、それを見て茶々を入れるハルモニ。我関せずのハルモニ。この空間には個性が溢れかえり、しっかりと人間関係が作られ、コミュニティが存在していた。
差別と貧困の時代に苦労を重ねた上に、安住すべき土地−コミュニティは震災で破壊された。在日一世の余生にも震災はしっかりとその痕跡を残している。ハナの会はそうしたコミュニティを補完する重要な空間なのだと感じた。
今回、大いに歓待を受けた我が一行。最後には目に涙を溜めて、何度も「ありがとう、また来い。」と言われた。握り締めたハルモニの手は温かく、柔らかで優しかった。私はその時自分のハルモニの手を思っていた。酒飲みの亭主と沢山の子どもを食わせる為に、リヤカーを引きながら屑鉄の回収、造船所での過酷な労働を強いられたハルモニの手の平は硬く分厚い。節くれだったその指は太く、指輪が食い込み、皺が刻まれ、ひどく男性的なのである。その手で幼い頃はよく頭を撫でてもらっていた。そしてその力強い手は、今や病で片方が動かせずにいる。字を知らないハルモニは、昨年から夜間学校に通っている。そこにコミュニティは存在するのだろうか・・・。ハルモニの苦労話は本人の口から聞いた事は無かった。一緒に酒が飲める年齢になってから、無口な父親が話し聞かせてくれた事が全てである。何度か直接話を聞こうとしたが、途端に口を噤むハルモニ。おそらくハルモニの人生は、筆舌に尽くしがたい苦労の連続だったのだろう。私のハルモニも含めて、在日コリアン一世の残された時間は有限だ。私は今回の訪問で、自分のハルモニが経てきた歴史を改めて知りたくなった。知らなければならないと思った。そして、一人でも多くのオーラル・ヒストリーを聞く事、それを在日コリアンの経験として残し、伝えていく事の重要性を今ひしひしと感じている。
(姜晃範(<日本−在日−韓国>ユースフォーラムジャパン))
◆日産ラーニング奨学生のご紹介
7月から日産自動車のNPOインターンシップ奨学生としてKFCで働いています。KFCが今夏から始めた外国人の子どもたちのための学習支援や神戸市内の外国人児童生徒の教育実態に関する調査を中心に活動しています。
振り返れば8年前、1年間のベトナム留学を終え帰国して数ヶ月経った頃に八尾の日本語指導員を始めたのが、在日ベトナム人の子どもとの初めての出会いでした。本国で会った子どもと同じような子が待ち受けているのだろうと漠然と思っていたのですが、いざ現場に行ってみると、私よりも関西弁ペラペラで日本のテレビアニメやゲームの話に熱中する子たちが待っていて、戸惑うとともに、私の中でおぼろげながら出来かかっていたベトナム人へのイメージがガラガラと崩れていくようなそんなショックがありました。
それから色んなベトナム人の子どもに会ってきました。「ベトナム人の子ども」だから出会う機会を与えられたわけですが、だからといってみんな一括りにできないような個性や感情、境遇を持っていました。子ども一人一人が持つ個性の豊かさや、それに向き合っていく大切さや楽しさなどを彼らから教えてもらったような気がします。
KFCの補習教室にも多様な文化背景を持つ子どもたちが通っています。社会の中でマジョリティである私たち日本人はとかく彼らをベトナム人の子、中国人の子と「お国」でカテゴリー分けしがちですが、それだけに捉われず、それぞれの個性や気持ちに向き合っていこうと今も肝に銘じています。
(インターン 北山夏季)
◆地域国際化を考える研修会2005 実施報告
今年で5年目となる「地域国際化を考える研修会」を8月17日より開催しました。今年も福祉事務所職員や学校関係者など、5日間で延べ約250人の参加を得ました。
今年はまず総論として外国人を考える前に、「そもそも日本人とは何か」を考えるという視点から、ましこひでのり中京大学教授よりお話いただきました。参加者からは、新しい視点で考えさせられたというご意見をたくさん頂きました。
2日目は当事者の方からのお話、3日目は福祉問題、4日目は教育問題、5日目は法的地位というテーマで興味深いお話を頂きました。3日目以降には講義の後に各回グループ討議の場を設けました。グループ討議の参加者はいろいろなケースを抱えている方が多く、話し合いたいことが多くあったにも関わらず、時間が短かすぎて、十分な議論が出来なかったという部分があったかと思います。
来年実施する事になれば、今回の参加者からのご意見や反省点などを活かして、今回以上に多くの行政職員や学校教員などにご参加いただき外国人住民への理解を進めることができればと考えています。
■■■ 今後の予定■■■
■日本語ボランティア養成講座(初級コース)
10月15日(土)〜全10回 13:30〜16:00
於 新長田勤労市民センター別館ピフレホール(予定)
■日本語プロジェクト支援者のための研修会、連絡会
10月8日(土)13:30〜16:00 研修会、連絡会
「語彙調査からわかること」 講師:難民事業本部
於 デイサービスセンターハナの会
11月12日(土)13:30〜16:00 研修会、連絡会
「絵を描いて教える日本語」 講師:永保澄雄
於 デイサービスセンターハナの会
■KFCハナの会昼食会
9月17日(土) 11:00〜14:00(10時から開けています)
於 デイサービスセンターハナの会
■外国人の親子学習教室
毎週木曜日16時〜21時
■在日マイノリティスタディーズ出版記念フォーラム
「ハルモニたちが語る歴史と未来」
9月23日(金)18時〜21時 於 デイサービスセンターハナの会