■■■ 「違いを認めた平等」を求めて■■■
金 宣 吉
今年度からKFCの代表をすることになりました金宣吉です。
KFCは民間の団体です。今世間ではKFCのような活動をNGO(Non Gover
ment Organaization)といったりNPO(Non Profit O
rganaization)と定義していますが、KFCを含めてこれらの活動の根底に
あるのは、多様性の時代に対応した社会正義をつくっていきたいという思いだと考えます。
長い間培われてきた価値観が、市場経済の国際化や強国主導のグローバライゼーション
などによって揺らぐなかで、多様な価値感が生まれています。
そんな時代だからこそな魔法の杖のように「多様性を認める」ことが解決策のように語ら
れますが、少し立ち止まって考えると「多様性を認める」という言葉はそんなに万能な考え
ではないことに気づくと思います。
歴史は多数者、社会的強者の都合や利便さの追求が、どれだけ少数者を踏みにじって
いったのかを証明しており、「個性」を大切にすることが人権を守るために大切な要素であ
ることが認識されつつあります。
そのなかで「多様性を認める」ことの重要性がクローズアップされていると思いますが、
多様性を認めることは、なにもそれ自体が目的ではなく「人の権利」を認めるために「多
様性を認める」ことが大切な要素なのだと思います。
社会が受け入れるべきでない多様性もあります。かといって一方的な価値観の押しつけ
が問題の解決に向かわないこともあります。
そんな難しい時代、状況のなかでKFCは「違いを認めた平等」を考え活動していきたい
と思います。
■■■2002年度事業計画〜2002年度総会より■■■
KFC2002年度事業は、日本在住の外国人住民(民族的少数者)が、地域社会に主体性を
持って参加、共生していくための力をつけられるよう直接、間接の支援事業を実施します。
主催事業としては、新たな事業として外国人住民が現在もっとも困難な状況におかれて
いる仕事、就労の課題に対応するために、「外国人住民の自立に向けたスモールビジネス起
業支援」を実施、また放送ツールを使った日本語学習支援の第2弾として「定住化するスペ
イン語を母語とする在日外国人のための日本語学習コンテンツ」を作成し、日本語の自主学
習環境づくりの拡大にも着手します。
KFCのスタッフについては、2002年度のKFC事業構成が、震災後の課題に対する解
決型のものであり、期限が限定され事業の進行や成果、作成物の作業が大きな比重を占め
ることを考慮し、KFCとして2002年度の緊急地域雇用創出特別交付金事業「生活復興の
ためのNPO活動支援事業」で、期限付き職員には時限事業に従事してもらいます。
相談事業については、いままでの実績を踏まえ、直接的な相談から、相談を受けている当
事者コミュニティ、専門分野で相談を実施しているNGO、行政機関との連携を深め相互
協力を進めるとともに、間接的な助言や、課題における解決提言といった中間支援組織的な
位置づけを目指します。
日本語プロジェクト活動は、学習希望の急増に場所、人材、資金の供給が間に合っていな
い状況に対応するため、グループ支援の強化や日本語ボランティアの育成、募集、自己資金
づくりなどに取り組みます。事業としては例年通り、マンツーマンレッスン、グループレッ
スンに加え、日本語学習支援者養成講座の開催、秋まつり、クリスマス会などの交流事業を
実施する予定です。
運営としては通常のマッチングコーディネートは日本語コーディネーターの交代に伴
い実務作業日を月、木、金に変更し、今年度も決定した日産ラーニング奨学生に補佐しても
らいます。広範囲に及び日本語プロジェクトの円滑な運営に向け学習支援者の意見集約、
日常の意見交換のために日本語リーダー会議を開催し、決定が必要な案件については、運営
会議に持ち上げ決定します。
ネットワーク活動としては、今年度もKOBE外国人支援ネットワーク(通称:
MISDON)の幹事団体として他の外国人支援組織との連携事業に取り組みますが、従前の
資金分配共同事業実施ではなく、課題ごとにネットワーク参加団体と取り組み、総合的な
外国人問題の研修会開催や提言活動といった共同事業として成果が得やすい事業を推進し
ます。
具体的な予定としては、兵庫県、(財)兵庫県国際交流協会との共催で「地域の国際化を
考える研修会」を開催し、兵庫県下の行政関係者、NGO関係者、研究者の連携とスキルアッ
プを図っていきます。そのほかにKFCの「在日外国人の医療・保険問題の調査研究」と冊子
づくりにネットワークの力を借り実施します。
昨年度は、スタッフ、ボランティアの努力によって運営、財源とも大きな問題をおこさず、
事業を進めてきましたが、実際は薄氷の上を歩くような脆弱さであるのがKFCの実体で
す。交通費の支給など支援する側への最大限の考慮を継続する努力を運営上考えたいです
が、一方KFCに参加するひとりひとりが団体の実状を理解し、支えていく側にあること
も理解して欲しいとあえて提起したいと思います。
KFCは全くの民間の団体であり、自立(自律)した個々の力が支えている団体です。2002
年度はKFCの活動へ真の参画する人を増やしたいと考えています。
■■■「生活復興のためのNPO活動支援事業」受託決定■■■
去る6月16日に「生活復興のためのNPO活動支援事業」の公開コンペが、県立神戸学
習プラザにて行われました。プレゼンテーションには19団体が参加し、結果11団体に
委託が決定しました。KFCも受託することになり、いくつかの事業に取り組むことになりました。
それぞれの事業についての、簡単な概要は以下のような内容です。
1つめの事業は、「スペイン語を母語とする在日外国人のための日本語学習放送コンテン
ツ」です。これは、昨年、ブラジル人を対象とする日本語学習放送コンテンツに取り組みま
したが、その継続として行うものです。その際の経験を生かし、今回、スペイン語を母語とす
る人々が、就労時間や高額な授業料のために、学習の機会に恵まにくい場合、地域のコミュ
ニティ放送を使い、単独で学習できるように、番組をつくり放送し、震災後の生活再建へ向
けた環境作りを進めることが事業の目的です。事業期間終了後も汎用性をもち、再利用する
ことを可能にします。
二つ目の事業は、「在日外国人の医療・保健問題解決に向けた調査研究と実践的な提言の
作成」です。現在日本において、外国人住民に関わる様々な問題が山積しておりますが、中
でも、今回は医療や保健問題に焦点をあてていきます。具体的には、外国人の医療・保健問
題を研究者や行政機関、NGO関係者が共同で調査研究し、実践的な提言を行います。この事
業は継続し、KFCの自主事業であり、昨年出版いたしました、「在日マイノリティスタ
ディーズT」の続編として、ブックレットの出版とリンクさせることになっています。
三つ目は「外国人住民の自立に向けたスモールビジネス起業支援」です。これは起業意
欲のある外国人住民を対象に、生活再建に不可欠な経済的自立を促す、外国人住民の文化
性を生かしてなされる起業を支援しようとするものです。起業に必要な資金調達や財務管
理などを中小企業診断士や税理士の協力を得て学んでもらい、起業へ繋げていきます。
四つ目は「外国人住民問題解決促進プログラムに向けた事業連携ネットワーク活動」で
す。これは従前の事務局機能を更に強化させ、情報収集、コーディネートにより事業連携を
推進していきます。その結果として、得ることができる全国の先駆的情報や地域の情報を外
国人住民や関係者に、各団体のホームページに掲載したり、リンクなどを通して、発信して
いきます。
それぞれの事業に関して、いろいろな分野で活動されている方々や団体の皆さんに、ご
協力をいただくことになり、無理をお願いすることも多々あるかと思います。また、新規に
7月から順次、4名の雇用者が半年の間、各々の事業に携わることになります。不慣れなた
め、不手際が発生し、いろいろご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが、皆さんどう
ぞ宜しく御願いします。
(西條 典子)
■■■日本語プロジェクト■■■
■現況報告
現在の学習者の人数
マンツーマンレッスン 35名(内訪問1名)
グループレッスン
グループA(入門)月・金 6名
グループB(初級)火・木 8名
グループC(中級)金 4名
■連絡事項
*今年度の親睦会費について
(ボランティア保険)
今年度の親睦会費をお納め頂いた方、ありがとうございました。親睦会員名簿の整理の
ため、皆様に会員の継続の有無を確認させて頂きたいと思いますので、同封のハガキを返
信下さいますよう、宜しくお願い致します。
会員を継続していただける方で、まだ未納の方は7月31日までにお振込下さい。
*8月の研修会について
8月の研修会は、8月10日(土)KAPにて13時半よりおこないます。お盆の前ではあり
ますが、ぜひご参加下さい。
内容等につきましては、お気軽に武藤まで。
*2002年度
「実習を中心とした教授法講座」について
KFCでは、学習支援をする側のレベルアップが必要になってきていると考え、毎年支援
者のための初級講座等を実施してきました。
今年度は実践をふまえた講座で、学習支援して頂きやすくなればと考え、「実習を中心と
した教授法講座」を9月11日(水)から開講します。(詳細は同封のチラシをご覧下さい。)スキルアップのためにもぜひご参加下さい。定員30名ですので、お申込みはお早めに。
なお、講座の内容をより良いものにしたいと思いますので、簡単なアンケートにご回答頂けますようお願い致します。
*10月からのグループレッスン講師、アシスタントについて
5月の総会でも報告させて頂きました通り、日本語学習希望者が増えている今、これから
の人材確保のために10月からのグループレッスンの講師、アシスタントを一般公募す
る事になりました。もちろん今、関わって頂いている会員の方々にもぜひ応募頂きたいと
思っておりますので、宜しくお願い致します。詳細は、8月に発表致します。
*日産自動車第4期ラーニング奨学生として
森下 早苗
今月から日産のラーニング奨学生として、KFCの日本語プロジェクトで活動をさせて頂
く事になった森下早苗です。
まだ全ての面において不慣れで未熟な私ですが、2月までの8ヶ月間、自分にできる事を
精一杯やっていきたいと思っています。先輩である五百木さん・松本さんに胸を張って活
動報告ができるよう、スタッフの方々や皆さんの力をお借りしながら、少しずつ前へと進み、何か
一つでも形として残せたら、と願っています。
大学生活最後の年である今年は目の前に色々な課題があり、忙しい1年になりそうで
すが、それらに挑む事、挑める状況に今自分がいることをとても幸せに感じています。
月1回行なわれている研修会は、普段顔を合わせる事のできない支援者の方々と出会い、
意見や情報を交換できる貴重な場です。様々な視点から、意見・情報を頂きたいと思ってい
ます。一人でも多くの支援者の方に参加して頂き、課題や疑問について深く話し合える場
にしていけたら、と思っています。
日本語プロジェクトの一員として、支援者の一人として自覚と責任感を持ち、努力を重
ね、成長していきたいと思っています。
8ヶ月間、どうぞよろしくお願いします。
■■■語学の勉強はむつかしい!■■■
昨年の12月10日から今年の5月14日までベトナム語を勉強するためハノイ外国語大学
へ留学してきました。留学といっても日本から旅行団や代表団が来た時やシンポジウムが
あった時は学校を休んだので、1日2時間、月曜から金曜まで、5ヶ月間で172日=34
4時間でした。この間一人の女性教師を中心に一人の男の先生を含めて計7名の先生が交
代で教えてくれました。媒体言語は英語で、それぞれ個性のある教え方で楽しい授業でした。
ベトナム語は発音が難しく、同じスペルでも記号が違うと意味も違うので覚えるのが難解
で、覚えたと思っても忘れ、覚えたと思っても忘れの繰り返しで、上達するところまでいき
ませんでした。ベトナム語は最低1年、通訳ができるくらいになるまでは3年かかるといわ
れますから僅か5ヶ月で話せるようになろうというのはあつかまし過ぎるのかもしれません。
しかし、教え方については色々参考になりました。相手のレベルに合わせてじっくりと教
えてくれる先生。教科書通りにどんどん進んでいく先生。教科書はほどほどに自分の話題
で進める先生。なんとか話せるようにしてやろうと宿題も出してくれる先生。5ヶ月では到
底ものにはなりっこないと適当に教えてくれる先生などいろいろでした。いずれにしても
この年取ったおじいちゃんにベトナム語とベトナムを分からせてやろうと一生懸命だった
ことは間違いありません。それに充分応えることが出来ず申し訳ない限りですが、語学と
いうのは根気と努力がなによりも大切ですね。暇ができればもう一度勉強に行ってみたいと
思います。
私がベトナム留学を希望したもう一つの理由はベトナムの一般生活を知りたいというこ
とでした。ですからベトナム語の時間以外は極力外に出かけて街の中を見て回りました。
自転車、セーオム(バイクタクシー)、タクシー、徒歩でハノイの街を飛び回りました。ベ
トナム人の友人が多いため家に招いてもらったり、色々なレストランへ連れていっても
らったりと随分いい目をさせてもらいました。しかし、殆どの人が日本語か英語ができる人
のため、ベトナム語の勉強にはなりませんでした。下宿先も奥さんと子ども(大学生)が英
語ができるため、難しい話は英語になってしまいます。折角ベトナムへ行きながら日本に
いるのと変わりない状態で、ベトナム語が必要な時というのは一人で買い物に行ったり、
食事をする時だけでした。裏返せばベトナムの人々が色々と気を使って世話をしてくれた
と言うことです。どこの国でも同じだと思いますが、親しい友人にはとことん世話をする
ベトナム人。街で「何をしにハノイへ来ているのか」と聞かれて、「ベトナム語を勉強しに来
ている」と答えると、殆どの人がにこっと笑顔で「がんばってください」と歓迎してくれまし
た。観光で行ったときとは随分違うなあと思ったものでした。
いま、ベトナムは経済も順調で、昨年はGNPで6.7%の成長でした。今年も7.5
%を目指して頑張っています。政府に対する民衆の反応もこれまでの実績から「任せてお
いても大丈夫」といった感じで、政府を批判する声は今回は全く聞かれませんでした。それ
だけ政府は信頼されており、安定していると言えます。2010年までに今の10倍の経
済成長と貧困者の根絶を目指して、色々な困難を抱えながらも着実に前進しているという
のが私の感想です。
(中村 通宏)
■■■ 今後の予定■■■
■運営会議
7月26日(金)10:30〜 KFC事務所
8月23日(金)10:30〜 KFC事務所
■日本語研修会
8月10日(土)13:30〜 神戸アジア交流プラザ
9月14日(土)13:30〜 ″ (予定)
■「地域国際化を考える」研修会
● 8月2日(金)13:30〜16:40 ひょうご国際プラザ
第1回 外国人住民の歴史・社会背景を学ぶ
山田泉(大阪大学留学生センター 教授)
第2回 外国人住民の問題について考える(1)〜在日コリアン〜
飛田雄一(神戸学生青年センター 館長)
金久高(川崎市職員)
●9月6日(金)13:30〜16:40
第3回 外国人住民の問題について考える(2)〜在日ベトナム人〜
戸田佳子(羽衣学院短期大学国際コミュニケーション学科 非常勤講師)
ハ・ティ・タン・ガ(NGO ベトナム in KOBE)
第4回 中国帰国者の問題について考える
安藤 豊(中国帰国者定住促進センター自立指導員)
■お盆休みのお知らせ
8月13日〜16日までお休みを頂きます。